上質な革を販売する評価の高いタンナーとは?
レザー財布をはじめ、さまざまな製品で使われているのは「革」と呼ばれるもの。
これは動物から取った生の「皮」を加工して、はじめて財布やカバン、靴などを作る「革」になります。
「革」をつくる人や製造所のことをタンナーと呼びます。
このページでは、タンナーの基礎知識や代表的なタンナーの存在、世界各国のタンナーについて詳しく紹介していきます。
タンナーについて知ることで、革製品の奥深さを知ることができますよ。
タンナーとはいったい何?
タンナーとは製革業者のことで、平たく言うと「皮を革にする人」のことです。
「皮」は毛などがついている生の状態で、その皮を加工して鞣し(なめし)ていくことで、はじめて製品として使用できる「革」になります。
皮はそのままだと、必要以上に固くなったり、雑菌などで腐ったりしていまいます。
皮を加工することで、腐らず固くならない「革」を作っていくというわけです。
この「皮」から「革」に加工する工程をおこなっているのが「タンナー」と呼ばれる職人や、職人を抱えている工房・企業です。
英語で「(獣皮を)鞣す」という意味の「tan(タン)」をする人だから、「tanner(タンナー)」と言われています。
皮革製造に関わる会社や業者全体を指すこともあり、鞣しではなく、革の染色しかしていないような企業もタンナーと呼ばれることがあるようです。
タンナーは一流商品を製造するための“高度技能者”
財布やカバンなどの皮革製品を作っているブランドやメーカーは、タンナーが鞣して作った革を使って各製品を作っています。
そして、どんな皮を選んでどう鞣すのかは、そのタンナー次第。
つまり、どんなに名の知れた高級ブランドでも、タンナーの仕事が一流でなければ、一流の皮革製品とはいえないんですね。
皮は動物の種類によって性質が異なるだけでなく、同じ動物の皮でもそれぞれ厚みや鞣したときの表情が異なります。
それに、財布やカバン、靴といった装飾品と、馬具などの道具、ソファーや車のシートなどに使われる革とでは、求められる性質がまったく違いますよね。
最終的に作られる製品にあった皮を選び、製品にあった鞣し方ができる優秀なタンナーの革が使われている革製品であれば、ブランドやメーカーがきちんと品質の高い商品を届けようとしている証である、といっても過言ではないかもしれません。
皮革製品が根付いている欧米では各国にタンナーが存在している
古くから皮革製品が文化として根付いているヨーロッパでは、各国にさまざまな特色を持ったタンナーがあります。
たとえばレザー大国としても知られるイタリアでは、ある地方だけでも1000以上のタンナーが存在し、1000年以上も続く製法を守り続けているタンナーもあるのです。
そのほかにも、乗馬文化・馬具作りから歴史が始まったイギリス、薬品を使ったクロム鞣しで知られるドイツ、高級ブランドが多いことから高級感のあるレザーが得意なフランスなど、各国・各地方で違いがあるんですね。
「鞣し」の工程をわかりやすく教えて!
皮を鞣して革にするのがタンナーの仕事です。
鞣し革は知っているけど、実際に生の皮から鞣し革になるまでの工程について、詳しく知っているという人は少ないかもしれませんね。
生の皮が革になるまでには、実にさまざまな工程を経ています。
原皮(げんぴ)と呼ばれる皮を原料に、皮に付着している血液や脂肪、毛などを取り除く水漬け・裏打ち・脱毛・石灰漬け、大きな皮を分割する背割り、
皮を表側と裏側に分ける分割、石灰漬けなどで皮の中に残った石灰を取り除く脱灰(だっかい)、不要なタンパク質を取り除く酵解(こうかい)、鞣し作業をしやすくする浸酸(しんさん)、
革へと変化させる鞣し、余分な水分を絞り出す水絞り、革を一定の厚さに調節するシェービング、乾燥などを経て、ようやく製品を作り出すことができる「革」となるのです。
これらタンナーがおこなう工程のうち、主なものを詳しくご紹介します!
1. 水漬け・背割り
水漬け
原皮を専用のドラムに入れ、大量の水で原皮に残った汚れ、血液などを取り除きます。
また輸入された原皮は腐敗しないよう塩漬けにされているので、輸入原皮の場合は塩漬けの塩を取り除く作業でもあります。
洗浄と同時に、皮に水分を与えて生の状態に戻す工程です。
背割り
原皮の中でも成牛や馬など大型動物の皮でおこなう工程です。
1頭分の皮がとても大きいため、前処理の段階で背骨に沿って半分に分割します。
背割りすることで、あとの作業がしやすくなるのです。
2. 石灰漬け・分割
石灰漬け
前処理の中でももっとも重要とされる工程です。
石灰を溶かした液に原皮をひたし、皮を膨張させて毛、脂肪、表皮層を分解させ、同時に不要なタンパク質の除去も行います。
石灰漬けの段階で皮が持つコラーゲン繊維がほぐれ、皮革が持つ柔軟性が得られます。
分割
スプリッティング、または裏すきとも呼ばれます。専用のマシンを使って、皮を毛が生えている表面側と、その下層部分にあたる裏面側とで2層以上に分割します。
石灰漬け後だけでなく、なめし後に分割工程をおこなう場合もあります。
3. 浸酸・鞣し
浸酸
鞣し処理は酸性の薬品を使っておこなわれます。
鞣しの作業がうまくできるよう、鞣し工程より先に皮全体を酸性液の中にひたし、皮が鞣し剤を吸収しやすい状態にする作業です。
鞣し
皮のコラーゲン繊維などを固定・安定させることで、皮に耐熱性や耐久性を与え、さまざまな風合いを持たせます。
ここではじめて皮が革へと変化するのです。
鞣しに使う溶剤には、クロムやアルミニウムなどの金属、植物タンニン、植物油などがあります。
ここまでの工程を経て、ようやく「皮」が「革」になっていくんですね。
タンナーの格付け
レザー業界には「LWG環境認証(レザーワーキンググループ)」というタンナーを審査する環境分野の監査団体があります。
何を審査するのかというと、
- 製革の工程で工場から排水される汚水の処理状況
- レザーの安全性など
です。
SDGsの観点からクリーンな環境パフォーマンスを果たしているタンナーに『LWG環境認証』を付与しているのです。
『LWG環境認証』には
- 標準合格
- ブロンズ
- シルバー
- ゴールド
と4段階の格付け(ランク)があり、工場の環境改善を厳格にクリアしていくと格付けが上がる仕組みになっています。
LWG環境認証を取得したタンナーが供給するレザーしか使用しない有名ブランドも出てきているほどです。
世界各国の有名タンナーを紹介
タンナーが担っている工程は、皮革製品を作る上でもとても重要です。
つまり、皮革製品を作って販売しているブランドだけでなく、どのタンナーが作った革を使っているのかということも、上質な皮革製品を選ぶ大きなポイントというわけです。
ブランドやメーカーに有名どころがあるように、タンナーにも世界的に知られているものがあります。
多くのメーカーが集まるアメリカや、古くからレザー文化が根付いているヨーロッパなどの海外タンナーだけでなく、実は日本にもタンナーが多く存在しているのです。
世界的に知られている海外のタンナーと、日本国内にある有名なタンナーを覚えて、より上質な皮革製品を選べるようになってみましょう!
アメリカのタンナー
馬とともに発展してきたアメリカでは、馬を素材とするコードバンのタンナーが多く存在しています。
ヨーロッパの伝統を受け継ぎながら、アメリカらしい実用的な革を生み出しています。
ホーウィン社(HORWEEN)
アメリカ・シカゴで1905年に創立されたタンナーです。
馬の尻皮を使って作られるコードバンが有名。
通常、コードバンは硬くて加工しにくいという特性がありますが、ホーウィン独自のタンニン鞣しを施したコードバンは「シェル・コードバン」と呼ばれ、独特の柔らかさを持ち使い込むほどになじんでいくため、伝統的なコードバンシューズの原料として各ブランドから選ばれています。
ウィケット&クレイグ社(Wickett & Craig)
乗馬用のアイテムとして使用する堅牢な革から、靴やバッグなどに使用する比較的ライトな革まで幅広い製品を提供しています。
耐久性が高く劣化も少ないため、実用性の高いタンナーとして知られています。
ドイツのタンナー
ドイツはクロムなめし発祥の地であり、現在も効率性の高いクロムによる革が多く生み出されています。
柔らかく丈夫な高級レザー類が特徴となっています。
ペリンガー(Perlinger Leather)
https://www.perlinger-leder.de/en/
クロム鞣しで有名なドイツのタンナーの中でも、特に品質の高さで世界的に知られるタンナーです。
生後6ヶ月以内の仔牛の皮から作られるシュランケンカーフ、クリスペルカーフといった高級皮革が有名。
その毒性が問題視されているクロム鞣しを施しながら、工業廃水などの問題にも真摯に取り組んでいます。
クロム鞣しの大手タンナーが次々と廃業していることを考えると、ペリンガーがいかに皮革へのこだわりと環境問題に向き合っているかがわかりますね。
ワインハイム社(Weinheimer Leder)
https://www.weinheimer-leder.com/
設立は2003年とごく最近ですが、伝統あるタンナーから独立する形で派生しており、150年以上の歴史を持つ技術を受け継いでいます。
黒い「ボックスカーフ」が広く知られており、機能性が高く評価されています。
イギリス(英国)のタンナー
イギリスは伝統ある紳士の国として革製品にも長い歴史があり、老舗ブランドの多い点が特徴です。
またブライドルレザー発祥の地としても知られています。
トーマスウェア(THOMAS WARE&SONS LTD)
イギリスでも数多くの鞣し用ピット槽を保有している、最大級の老舗タンナーです。
古くから馬具に使われてきたブライドルレザーが有名。
トーマスウェアのブライドルレザーは、伝統的な植物タンニン鞣しをしたあと、ミツロウなどの蝋をヘラで塗り込む作業を繰り返して作られます。
革の内部にまで蝋をしみ込ませるこの作業は、すべて職人の手作業でおこなわれているため、皮が革となるまで数ヶ月という長い期間を要します。
セジュウィック社(SEDGWICK)
120年以上の歴史を持つ老舗で、ブライドルレザーの生産をメインとしています。
日本国内における革財布の多くがセジュウィック社製のものを使用しており、ハリ・ツヤの良さや丈夫さなどに定評があります。
ベイカー社
1860年創業という長い歴史があり、昔ながらの手法で作られる「フルグレインブライドルレザー」は生産量の少なさなどからも希少性が高いことで知られています。
「フルグレインブライドルレザー」は皮の表面を削らない独特の製法により、特別な強固さを誇っています。
グレード社(Grade Leather Ltd)
https://www.gradeleather.co.uk/
老舗の多いイギリスのタンナーの中では珍しく、1991年と比較的新しい時期に創業してします。
日本では人気の高い吉田カバンなどに製品を提供しており、きめ細かい最高級のベンズ革などでも有名です。
コノリー社(CONNOLLY)
https://www.gradeleather.co.uk/
140年以上の歴史を持ち、英国御用達として知られるコノリーレザーを生産するタンナーです。
イギリス製高級外車の内装に使われていることで名を馳せ、英国国会議事堂の椅子など高級インテリアの世界において多くの人に愛されています。
フランスのタンナー
ファッション最先端の地でもあるフランスには有名なタンナーが多くあり、世界的なトップブランドに高品質のレザーを提供しています。
デュプイ(DU PUY)
https://www.tanneriesdupuy.com/
フランスだけでなく、世界でも最高峰といわれるカーフレザーのエキスパートタンナーです。
特に、短時間のクロム鞣しを施して作られるボックスカーフが有名。独自の製法で鞣しがおこなわれていて、ほかのタンナーで作られる革にはないツヤときめ細かさを持っているのが特徴です。
デュプイのボックスカーフは、高級ブランドとして有名なエルメスにも採用されていることで知られています。
アノネイ社(Tannerie d'Annonay)
https://www.tannerie-annonay.fr/fr/
1984年にデュプイ社から独立した世界最高峰とも言われるタンナーです。
エルメスなどハイクラスのブランドに革素材を納入している他、高級靴ブランドなど多くの一流どころと取り引きがあります。
アルラン社(Alran)
https://www.alran.fr/default-en.asp
ゴート(山羊)レザーを扱うタンナーとして広く知られており、「シェーブルシュリー」がその代表作です。
手揉みによる繊細で不均一な美しいシボが特徴的で、ゴートレザーながらハリもあります。
ジュリアン社(Julien Tanner)
アルラン社と同じくゴートレザーを扱って100年以上の歴史を持つ老舗で、やや大きめのシボが特徴です。
肉厚でコシが強く、柔らかな光沢と発色の美しさなどが高い評価を受けています。
イタリアのタンナー
イタリアのタンナーは植物由来の素材を使用するベジタブルタンニンによるなめしを伝統的な製法としています。
数は非常に多く、様々なタンナーがひしめき合っています。
バダラッシ・カルロ社(Badalassi Carlo)
トスカーナ伝統の「バケッタ製法」にこだわる数少ないタンナーの一つで、革作りの学校で教えていた教授が創業したという変わった経歴を持っています。
エイジングの早さが特徴的で、すぐに劇的な変化を感じることができます。
ワルピエ社(Conceria Walpier)
https://www.conceriawalpier.com/
高級革ブランド「ブッテーロ」で知られるタンナーです。
小規模であるため生産量は多くなく、あまり広くは浸透していませんが、そのハリとコシ、発色の良さやエイジングにより色が濃くなっていく点などを特徴としています。
オリーチェ社(Orice)
伝統的な植物性のタンニンを使用して皮をなめす「ベジタブルタンニン」専門のタンナーとして知られています。
自然環境に優しいだけでなく、使い込むほどにゆっくりと手に馴染んでいく特徴が高い人気を誇っています。
イルポンテ社(CONCERIA IL PONTE)
https://www.conceriailponte.it/it/
動物性のオイルやグリスを使用したアニリン仕上げの革などが代表的なイタリア・トスカーナ地方のタンナーです。
ベジタブルタンニンなどのラインナップもあり、濃淡のある味わい深い色みが特徴です。
ブルターニャ社(Conceria La Bretagna)
https://www.jpn.labretagna.com/
イタリアのタンナーながらフランスの地名を社名としているのは、古くからフランス・ブルターニュ地方より元となる皮を多く仕入れていたことに由来します。
牛のショルダー部分に強いこだわりを持ち、金色に輝く「エコムラレスレザー」などが人気です。
モンタナ社(Montana Conceria)
自然由来のタンニンを使用し、昔ながらの手法でじっくりと時間をかけて皮をなめしており、味わいのあるきめ細やかなレザーには定評があります。
エイジングによる変化も自然で、イタリアを代表するタンナーの一つです。
ロ・スティヴァーレ社(Lo Stivale)
ルネサンス時代からの伝統的なバケッタ製法によって生み出される「バケットレザー」のブランド「ブルガノ」で知られるタンナーです。
つやのある滑らかな質感の表面が特徴で、オイルをたっぷり含んだしなやかさで人気です。
テンペスティ社(TEMPESTI)
伝統的な手法も大切にしながら、ファッションモードの最先端にも目配りを怠らない老舗タンナーです。
イタリアらしいビビッドな色合いの製品が多く、しっかりとしたつくりとモードとのバランス感が魅力です。
ラ・ペルラ・アッズーラ社(La Perla Azzurra)
https://www.laperlaazzurra.com/
比較的小規模なタンナーですが、それだけにフットワークは軽く、オリジナリティのある製品の多さが特徴です。
植物性タンニン鞣しにおいては避けられることの多い鮮やかな発色に力を入れており、存在感を示しています。
ベルギーのタンナー
ベルギーは世界市場においてそこまでタンナーとして注目されている国ではありません。
ただ次の一社だけは特別な存在として揺るぎない地位を築いています。
マシュア社(Tannerie Masure)
https://groupe-saturne.com/fr/
マシュア社の生み出す「サドルプルアップ」はオイルがふんだんに含まれた革として知られています。
そのオイルによって生み出される豊潤な光沢や手に馴染みやすい触り心地など、他にはない独特の味わいで世界中のファンから愛されています。
日本のタンナー
国内でも多くのタンナーが活躍しています。
そんな日本のタンナーを紹介しましょう。
姫路レザー
https://www.himeji-leather.co.jp/
多くの国内タンナーが集まる姫路でも、オリジナルの製法で開発されたアルコタンニンレザーで知られるタンナーです。
このアルコタンニンレザーはクロム鞣しが持つ軽さと丈夫さ、タンニン鞣しの持つ皮らしさの両方を備えた高品質皮革で、メンテナンスを繰り返しながら美しい経年変化を楽しむことができます。
さまざまなメーカーやブランドで採用されているだけでなく、公式オンラインショップではカット革を1枚から購入することができるので、高品質なレザークラフトを楽しみたい人にもオススメ!
栃木レザー
https://www.tochigi-leather.co.jp/
植物タンニン鞣しにこだわった、昭和12年創業という国内の老舗タンナーです。
ブラジル産のミモザのみを使っておこなわれるこだわりの植物タンニン鞣しでは、濃度が薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと、160ものピット槽を使って一貫生産されています。
固くて商品にするのが難しかったヌメ革の改良を続け、柔軟性と堅牢性のあるヌメ革を作ることに成功。
国内のアパレルメーカーはもちろん、世界の一流メーカーからもオーダーが来るという、世界基準のヌメ革を作り続けています。
藤富工業所
東京都墨田区に自社工場を構える、昭和35年創業のタンナーです。
国内タンナーは牛や豚、馬の皮革のみを取り扱っているタンナーが多い中、藤富工業所はワニやヘビといったは虫類皮革(エキゾチックレザー)を専門に取り扱う、世界でも数少ないタンナーとして知られています。
特にバッグや財布に多く使われるクロコダイル皮革の加工を得意としており、鞣しやシェービング、染色などの仕上げ工程までを一貫しておこなっているだけでなく、常に新しい加工や技術の開発も続けています。
宮内産業
本革ランドセル用の革素材の提供は8割以上という圧倒的なシェアを誇る、ランドセル用革のトップブランドです。
長年培われてきた技術を元に自動車や家具などに使われる本革も卸しており、本物志向のタンナーとして高い評価を得ています。
新喜皮革
馬革の技術においては国内随一とも言われ、特に高級素材である上質なコードバンの生産では世界でも屈指とされる姫路市のタンナーです。
世界中からそのコードバンが求められているだけでなく、自社でもオリジナルブランドを展開しています。
レーデルオガワ
革のダイヤモンドとも言われるコードバンの仕上げを行っている千葉県のタンナーです。
そのハイレベルな染色技術により生み出されるコードバンの色つやは光の角度によっても表情が変わるとされ、世界中で高く評価されています。
坂本商店
1923年創業の老舗が生み出す「黒桟革」は「レザーの黒ダイヤ」とも評され、世界中の見本市で日本初となる数々の受賞を遂げるなど、世界のファッションメーカーからも熱い視線を送られています。
元は剣道用の革などが主力でしたが、近年では9割がアパレル用として求められるなど注目のタンナーです。
タンナーが担っているのは、原料となる原皮選びから重要な鞣し工程、そして製品にあわせた革を作り出すためのシェービングといった、皮革製品が皮革製品として成立するかどうかの部分。
どんなに有名ブランドだとしても、鞣しなどの工程がしっかりできていないタンナーの皮革を使っていれば、皮革製品としての寿命は当然短くなりますし、皮革の美しさもまったく異なってしまいます。
レザー愛好家の中には、製品を作っているブランドではなくタンナーで皮革製品を選んでいて、「このタンナーじゃないとダメ!」というこだわりを持っている人もいるくらい、タンナーの世界は奥が深いのです。
できるだけ美しく、丈夫で長く使えるレザー財布を選びたいと思ったら、ブランドやデザインだけでなく、どのタンナーの皮革を使っているのかということにも注目してみると、お気に入りの逸品が見つかるかもしれませんね。